ベランダ・ガーデン プランニングのポイント

  

ベランダや屋上にも「部屋」をつくろう! 

ベランダガーデン あなたのベランダ、上手に活かせていますか? 楽しめていますか?・・・

 住宅の庭がインテリア化するなかで、ベランダや屋上の空間も「部屋」として捉えようという意識が強まっています。インテリア感覚でテーブルやイスを置き、お気に入りの植物や景色を眺めながらお茶などを楽しみたいという人が増え、こういう暮らし方が徐々に一般的になってきたようです。単なる付随的なスペースにせず、外の空間に「もうひとつの部屋」ができることで、生活に一層広がりや楽しみが増えることでしょう。 

 ただし、植物やテーブルなどをやみくもに配置してもなかなか簡単には魅力的な部屋(庭)にはなりません。また、ベランダは狭いうえに数々の制約がありますので、安易に施工すると不便な思いや余計なトラブルを抱え込みますので慎重な検討が必要です。

 ここではベランダガーデンをつくるにあたってのプランニングのポイント(予め知っておくべきこと)をいくつかお話します。

 

ベランダガーデン プランニングのポイント 

1 まず、ベランダの現状の把握しよう。

  プランニングにあたっては、まず「現場」を調査し把握する所からスタートします。

 注意しなければならないのは、ベランダというのは「特殊な空間」だということです。下記のように様々な「制約」がありますので、それに則って「部屋(庭)」をつくります。特にマンションには守らなければならないルールが多いので注意が必要です。 

 

◆ベランダの基本的構造 

1) 構造 

 ベランダの躯体構造としては「片持ち床構造」がほとんどです。構造的に弱いですから、物を設置する場合、外側に極端に集中させないようにしましょう。特に重量物には要注意です。

 また、手すりは落下防止のためのものですので、手前に物を置く場合、足がかりにならないように注意します。法的には床面から1.1m以上確保する必要があります。

ベランダの構造図

 

 2) 防水 

 防水仕様はさまざまですが、ベランダは一般的に簡易防水が多く、保護材を敷くなどの配慮が必要です。

 また、防水が弱い場所での対応としては、床面が常に湿った状態にしないことが大切です。植栽する場合にもコンテナ植栽を基本とし、安易に直接に土壌を入れてはいけません。 

 

3) 排水 

 通常、余剰水は床の水勾配に沿って「排水溝」へ流れ、「ドレイン」に集まって階下へ落ちていきます。計画にあたっては、この「水みち」を塞がないことが大切で、ゴミトラップを設けたり、点検や掃除をしやすくしておきましょう。 

 

4) 耐荷重 

 ベランダ(や屋上)では載せられる重量が限られています。

 どれだけ載せられるかは物件によって違いますので、その都度必ず確認をしましょう。法的には、最低限「床版荷重180kg/㎡以上、地震力荷重60kg/㎡以上」という建築設計上の積載荷重が定められていますので、基本的にはこの範囲内でつくることになります。これは、一番荷重のかかる部分が、180kg/㎡を超えないということと、あわせてベランダ全体の平均が60kg/㎡を超えないということです。実際計画してみると平均60kg/㎡というのは非常に少なく、一般的なガーデンの素材では簡単にオーバーしてしまいます。計画した段階で平均荷重、部分荷重をチェックし、超える場合には「軽量化」を図ったり、重いものは部分使いにするなどして調整する必要があるでしょう。また、極端な「偏荷重」や「1点荷重」も避けましょう。  

 の「荷重」の問題と、防水や排水、給水など「水」の問題が、ベランダで何かをする場合の最もネックになる要素です。

荷重の制限

 5) 利用可能なスペース 

 マンションのベランダの場合、各住人が専用で使っていますが法規上は共有スペースになっています。ですから、緊急時には避難経路になっていることが多いので、この経路は塞がないことが大切です。

 隣地との境になっている「避難用隔壁」の前には物は置かない。置いても手ですぐ押しのけられる程度のものとします。また、階下へ降りる「避難用ハッチ」がある場合にも、その上には物は置かないようにして下さい。

 また、ベランダには「物干し」スペースがある場合が多いので、できれば、ガーデニングスペースと分けるか、無理なら修景に取り込んで、違和感のないデザインを考える必要があるでしょう。 さらには、エアコンの「室外機」もあります。温風の吹出し口を塞がないことと、植物は吹出し口の前には置かないようにしましょう。

 このように、ベランダは本来、ガーデンのために作られてはいませんから、本来の機能を損ねない配慮が必要です。 

 

◆ベランダの自然環境や周辺環境

 1) 日照条件 

 植物を育てるにあたっては、日照条件(日当たり)が最も重要な要素のひとつです。日照条件によって、使える植物やその管理基準が変わってきます。ベランダは床や壁に直射日光が当たり、その照り返しにより気温が上昇し、特に夏は高温や乾燥などで植物が傷みやすいですから注意が必要です。

 まず、方位(方角)を確認しましょう。方角によって日照条件が変わりますから、使える植物も変わってくることになります。そして、たとえ同じ方角でも現場によって状況が違ってきますので、よく「観察」することが大切です(朝夕の変化、季節変化など)。よくあるのが、たとえ南向きでも日照障害で日陰であったり、あるいは逆に北向きでも空が開けていると意外と明るいところもあります。

 

2) 風当り 

 適度な風は植物に必要ですが、強すぎる風は植物を痛めますし、また物が飛散したりなどの危険が生じます。一般的には上層階ほど強いといえますが、都会などビルの密集地では下層でも強い「ビル風」が発生し、複雑な動きをすることがあります。飛散防止対策や風除け、固定方法の検討等が必要です。 

 

3) 周辺環境への配慮 

 都市部では、プライバシーの確保にも気を配る必要があります。特にマンションが立ち並んでいると外からの視線も気になりますので、ラティスや植物などで目隠しを考えます。

 また、内から見て外に見える景色はどうでしょうか? もし隠したいものがあるなら目隠しで隠し、背景として取り込みたいものがあるなら「借景」を考えます。 さらには、外からどう見えているでしょうか? 街の景観への配慮も必要で、街並みの統一感を極端に損ねないようにしましょう。 

 

◆管理規約 

 マンションではベランダはあくまで共用部分であり、マンションによって様々な制約を設けています。事前に必ず「管理規約」は確かめておきましょう。これを怠ると出来上がってから取り壊しを求められるなど、余計なトラブルを抱え込むことにもなります。

 制約の内容はマチマチですが、概ね共通することは、落下事故や緊急時に問題が生じないようにするなどの安全性への配慮が第一です。また排水詰まりや飛散防止など近隣(上下、左右)に迷惑をかけないことなどが求められています。

 ベランダはガーデンのためだけには作られていない空間ですから、ベランダの本来の機能をトータルに考えて計画をしましょう。

 

 このように、プランニングにあたっては、まず「現場の状況」をよく観察し、「ベランダの特殊性」というものを必ずよく把握、理解した上で進めるようにして下さい。

 

ベランダ・ガーデン プランニングのポイント2

 

 2 エレメントとその使い方を理解しましょう。

 

 前述の条件をクリアできれば、一般的なガーデンアイテムの多くはベランダガーデンでも使えると思います。しかしながら、現実的には「重量」の問題や、ベランダの「構造」上の制約などが厳しく、かなり限られてくるのも事実です。

 工夫やアイデアを凝らしながら、現場に応じた対応をしましょう。

 

 ◆床面の要素 

 コンクリートがむき出しでは味気ないものですし、「部屋」としての使い勝手や居心地も悪いものです。機能性、意匠性を考えて床面をうまく処理しましょう。この場合、人が歩く部分(動線)と歩かない部分(非動線)に分けて考えるとよいでしょう。

 

1) 歩行用の床材 

「デッキパネル」 

デッキパネル 今の床面素材の主流といえます。ウッドをはじめ、タイルやゴムチップ、樹脂製などさまざまな素材があります。特徴は、まず施工がカンタンなこと。連結式で誰でもできるようになっています。また脚がついていて排水性がよいので、ベランダでは都合の良いアイテムといえます。さらにはコストが安いうえ、比較的軽量で、掃除がしやすい、取り外しやすい、断熱効果がある、素足感覚で歩けるなどベランダに都合の良い特徴を兼ね備えており、非常な便利なものです。

 各メーカーから多彩な製品が出ていますのでイメージに合うものを選べますが、品質的には差が激しく、劣化の激しい商品もあるので注意が必要です。
 その他、本格的なウッドデッキ、あるいはタイル貼り、石貼りなどは条件が許せば使えますが、一般的には難しい場合が多いようです。特に重い素材は全面に敷くと荷重オーバーになりますので、「部分使い」が基本となるでしょう。

 

2) 非歩行用の床材 

 「玉砂利敷き、ウッドチップ敷き」など 

 これらで隅の隙間を埋めたり、あるいはデッキパネルの一部をはずして敷き込むという使い方が効果的でしょう。ただし、ホコリが溜まりやすいのでメンテナンスは必要です。

 

◆壁面(立面)の要素 

「トレリス、ラティス」(木製の格子) 

ラティス、トレリス ベランダでの壁面(立面)の定番アイテムです。室内から見たとき、コンクリートの手すりでは無機質で殺風景なものです。トレリスを用いることで、無機質なイメージが温かい雰囲気になり、手軽にガーデンらしい落ち着いた雰囲気が演出できます。

 使い方は、それ自体が装飾物としても使えますし、また空間を仕切ったり、目隠しに使ったり、日よけや風除けにもなります。あるいはハンギングバスケットを架けたり、ツル植物を絡ませたりといった植物の支持材・背景として使うのも効果的で、植物を立体的に見せる有効な手段といえるでしょう。 

 その他には、ネットや金属のメッシュに植物をからめたり、あるいはよしずや竹垣ボードで「和」を演出したりできます。 また、本格的なウッドフェンスやパーゴラ等は構造上難しい場合が多いようです。条件が許せば使いたいアイテムでしょう。 

 

◆植物について 

 ベランダは貴重な屋外空間ですから、ガーデンらしくできるだけ植物を取り入れてほしいものです。ただし、ベランダは本来、植物にとって過酷な環境ですので、これに耐える植物を選ぶ必要があることと、維持管理できるかどうかの検討が必要です。

 また、ベランダでは「コンテナ植栽」が基本になりますので、どうしても見せ方、飾り方に制約が生じます。でもうまくアレンジすることで「小さな庭」を作り出すことができますし、手軽に移動できるのも利点でしょう。
大型コンテナと樹木 使い方としては、できるだけ「立体的」に演出するように心がけましょう。それにはハンギングやツル植物が有効です。また、ベランダというと「草花」をイメージしがちですが、空間が単調になりやすく、メンテナンスも負担になりがちです。できるだけ「樹木」をうまく使うことをおすすめします。ガーデンらしい落ち着いた雰囲気をつくれますし、背景として、また目線を切ったり誘導したりといったさまざまな使い方ができて重宝します。メンテナンスもラクになります。 

 

◆装飾物、添景物 

 装飾物は一般的に庭のアクセントとして使ったり、フォーカルポイントとして「視線」を誘導して空間を引き締めたり、また庭の「趣き」をつくったり、あるいは庭の「メッセージ」を明確にしたりといった効果があります。

 ベランダのように狭い空間でも、装飾物をうまく使うことで、空間全体のバランスをとり、奥行きや広がりを感じさせたりできます。その際、植物をうまくからめるとより効果的でしょう。

 

 

3 ガーデンをつくる目的を明確にしておきましょう。 

◆あなたはそこで何をしたいのですか?

テラスでくつろぐ 事前にガーデンを作る目的を明確にしましょう。目的が変われば、デザインも変わってしまいます。例えば、プライベートなくつろぎの空間にしてゆっくりとお茶や食事、読書を楽しみたい!とか、庭で夜景を眺めながらお酒を楽しみたい、ハーブや菜園で収穫を楽しみたいなどなど・・・。 

 

ガーデニング これらは複数あってもよいですが、必ず「優先順位」を明確にしておきましょう。「狭い」ということの欠点は一度に多くのことを楽しめないだけで、工夫次第でさまざまな要素を盛り込むことは可能だともいわれます。でも、現実には多くの要素をすべて取り入れるのは大変なことです。ベランダという空間の特殊性や制約を考えると、やはり無理して詰め込まないことが賢明で、優先順位にしたがって取り入れていきましょう。

 

 このようにプランニングにあたっては、前述の「現場の状況(構造や環境、安全の方策等)」や「エレメント」と併せて、まずこれらをしっかりと把握しておくことが大切です。 

 ベランダにも、ぜひあなたらしい素敵なアウトドアリビングを作ってみてください!あなたの生活により一層広がりや楽しみが生まれますよ!

(もちろん、「作庭工房」にご依頼いただいても結構です。素敵な部屋づくりのお手伝いができれば幸いです。)

 

業務地域 : 大阪府南河内地域(下記以外は要相談)

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