やってみよう!ガーデンデザイン2(様々なガーデン資材と調和)

ガーデンデザイン

(ガーデンデザインの進め方 つづき)

STEP4 具体的にデザインを練り上げていく

ゾーニング作業で全体の納まりに目途がついたら、ようやく具体的なデザインを練り上げていくことになります。

テーマに沿って考えよう!

テラスやデッキ、通路や塀、植栽などそれぞれの要素の形状や大きさ、レイアウトなどを検討していきますが、この場合予め決めた「テーマ」に沿って考えることが大切です。・・・
そして自由な発想で、イメージを膨らませながら徐々に形にしていきます。
あれこれと、まさに行ったり来たり・・・(愉しい時間でもあります。)


 

ガーデンで使われる資材を知っておこう!

その際、考慮すべきポイントとして「使う材料」も同時に平行して考えることが大切です。同じデザインでも、使用する素材によって大きくイメージが変わってきますので、テーマに沿って選びながら効果的に組み合わせていきましょう。

さまざまなガーデン資材

デザインを具体的に進めていくうえで、ガーデンを構成する資材、材料を具体的に知っていることが必要です。

近年、実に多様な資材が供給されるようになりましたが、ここではごく一般的なものを紹介しておきます。

なお、庭のデザインは単純化すれば「床の要素」と「壁(立面)の要素」の組み合わせで構成されています。そして、同じような資材でもそれが床の要素として使われたり、壁の要素として使われたりします。

1)床の要素・・・テラス、デッキ、通路、階段、ガレージ、オープンスペース、縁石など

種 別細 別使い方
石 材御影石(平板、延べ石、小舗石など加工品)平板敷き、延べ石敷き、小舗石敷き、平板立込み、見切り縁石など
鉄平石、石英岩など(乱形、方形)乱形貼り、方形貼りなど
自然石(野面)飛石、延段、景石、捨て石など
砂利、ゴロタ石砂利敷き、洗い出し舗装、ゴロタ石敷きなど
レンガレンガ、テラコッタ平板などレンガ敷き、テラコッタ平板敷き
タイル方形タイルなどタイル貼り
コンクリート2次製品類(平板、縁石など)、現場打ち化粧平板敷き、縁石、土間コンクリート、カラーモルタル舗装など
木材防腐処理木材、枕木、人工木材などウッドデッキ、枕木敷き、枕木縁石、ウッドチップ敷きなど
その他舗装材二次製品など土舗装、樹脂舗装(砂利、ガラス、ゴムなど)など
▲ レンガ敷き、レンガ積み、笠石ほか
▲ ウッドデッキ、ウッドフェンス、御影石平板敷き、レンガ縁石、砂利敷きほか
▲ 御影石平板敷き、自然石乱形貼り、洗い出し舗装、御影石縁石、土留め景石、砂利敷きほか

2)壁(立面)の要素・・・塀、柵、門柱、アーチ、パーゴラなど

種 別細 別使い方
石材御影石(平板、延べ石、小舗石など)延べ石立て込み、平板立込み、小舗石積み、笠石など
鉄平石、石英岩など(乱形、方形)小端石積み、石貼り塀など
自然石(野面)石積み、景石、蛇かごなど
六方石など六方石立て込み
レンガレンガレンガ積み
タイルタイルタイル貼り
コンクリート二次製品(ブロックなど)、現場打ち化粧ブロック積み、RC擁壁、塗り壁下地など
木材防腐処理木材、枕木、人工木材などウッドフェンス、パーゴラ、枕木立て込み、ラティス立て込みなど
竹材天然竹、人工竹竹垣、スクリーン
金属二次製品(アルミ、アイアン)、ロートアイアンフェンス、門扉、門柱、アーチ、ガレージなど
その他ガラス、プラスチックほかフェンス、スクリーンなど
▲ アイアンアーチ、砂利樹脂舗装、レンガ積み、レンガ縁石、平板敷き、テラコッタ鉢、砂利敷き ほか
▲ ラティススクリーン、パーゴラ、ウッドフェンス、レンガ積み、小舗石縁石ほか
▲ アルミ擬木立て込み、ガラススクリーン、景石、ゴロタ石敷き、テラコッタ壺ほか

3)ガーデン資材としての植物

ガーデンに使われる資材のなかには樹木などの「植物」も含まれます。これらの植物(特に樹木)をどう効果的に使えるかということがガーデンデザインを成功させる重要なポイントのひとつでもあります。・・・(樹木の効果効用や樹木を使った空間構成などは別稿にてお話しします。)

ここではガーデン資材としての植物についてのお話ですが、他のガーデン資材と大きく違うのは植物は「自然の生物素材(生き物)」であり、枯損や衰弱のリスクが伴うことです。したがってその性質をある程度知ったうえで使う必要があります。

(1)植物の種類(分類)

一般的な造園木だけでも数百種類ありますが、やみくもに把握するのではなく、目的や用途、性質に応じて分類(グループ分け)すると分かりやすいでしょう。

基本分類(木本と草本)木本(樹木)針葉樹、広葉樹、特殊樹(竹類、ヤシ類)・・・葉の形態や生理機能で分類
常緑樹、落葉樹、半落葉・・・年間の形態・生理的変化で分類
※植物学の分類と造園学の分類では一部相違があります。
草本(草花)一般的な草花類(宿根草、1~2年草、球根類など)のほか、芝類、ツル性植物、水草類など
※見た目が草本のような木本、木本のような草本もあります。
樹木の大きさによる分類ヒューマンスケールで高木類、中木類(人の背丈程度のもの)、低木類、地被類(グラウンドカバー類)
環境への適応性による分類光、気温、水分ほかⓐ光への適応性: 陽樹、陰樹(耐陰性) ⓑ気温への適応性: 暖地性、寒地性 ©乾燥への適応性: 耐乾性  ⓓ他には、風や塩分(潮風)、公害に強いか、病虫害に強いか、移植や剪定に耐えるかなど
人の利用目的による分類有用な用途に特化花木(特に花を観賞するもの)、果樹(特に果実を収穫、鑑賞するもの)、カラーリーフ(特に葉色に観賞価値のあるもの)、生垣用樹、他にはハーブなど香りのよいもの、野鳥や虫を呼ぶもの、など踏圧に耐えてスポーツやオープンスペースに使えるもの など。
他には生長のしかたによる分類(早い遅い、枝の広がり方(縦へ伸びる、横へ広がる、下垂する、這う)など)、管理のしやすさによる分類(剪定の頻度など)

 

(2)植物の選び方

上記のように分類、把握した植物ですが、たくさんある中でこれをどう選んでどう使うのか実際には迷いやすいものです。・・・
ここでは、ひとつの方法として絞り込んでいく手法をご紹介します。

① まず、「庭のイメージ」と「目的」に合うものをピックアップします。

・・・とりあえず見た目や目的だけで選びます。

※植物の「見た目のイメージ」が「空間のイメージ」に合うもの

・・・姿形、色、大きさ   など

※「植栽の目的」に合うもの

・・・シンボルとして、目隠しとして、背景として、添景として、日よけとして、花の彩りとして、収穫として、など

② 次に、環境条件による選定、絞り込み。

・・・その環境に適応できるものだけに絞り込む。

※気温、日照、乾燥、風、土壌などの要因をチェックし、適応できるものを残します。

(もし、どうしても植えたい植物があればその条件を整える必要があります。)

③ 最後に、施工・管理上の制約による選定、絞り込み。

※市場性の確認(入手できるのか?)、施工性の確認(搬入経路や方法、植栽時期など、実際に植えられるのか?)、管理上の問題(維持管理できるのか?)

④ こうして絞り込んで、残ったものの中で採用する。・・・(最後はコストの問題もありますが。)

(参考)なお、植物を植える場合その種類の選定も大切ですが、「生き物」である以上それが生育する「土壌」の大切さも理解しておく必要があります。土壌の良しあしの判定は物理性や化学性等の判断がありますが、特に水はけや通気性への配慮が必要です。(別稿にて)

 

4)ガーデンを彩る装飾物、添景物など

装飾物や添景物は庭のアクセントやフォーカルポイントとして視線を誘導し、空間を引き締める効果があります。また、庭に「趣き」をつくったり、庭の「メッセージ性」を明確にしたりすることができます。

ただ、適当に配置するのでなく、庭全体のバランスに気を付けながら、最も美しくて安定した位置に設置することが大切です。

特にフォーカルポイントとして使う場合には配慮が必要で、例えばフォーマルな庭では軸線上など整然とした位置で強い表現にしますし、ナチュラルな庭では中心からずらしてどちらかに重点を作ることが多いものです。

装飾物の種類
ⓐ オーナメント類 : さまざまなものがあります。庭のテイストや空間の大きさに合わせます。
※特に水を使った「水景」は効果的でしょう。
ⓑ ガーデンファニチャ類 : 実用性だけでなく、装飾物としても効果的。置くだけで安らぎのイメージに。
© 照明類 : 実用性だけでなく、装飾的なものや演出方法で印象的な空間づくりができます。
ⓓ さまざまな機能装置類の装飾化が進んでいます。テイストに合ったものを選びましょう。(表札やポスト、水栓類、門扉、フェンスなど)

 


 

全体の調和にも配慮しよう!

また、全体の「調和」にも配慮します。
統一感のある空間をつくるには「個々の要素」同士の調和だけでなく、「ガーデン全体」さらには「室内や周辺環境」とも調和が取れている必要があります。

取り入れる様々な要素の色や形、質感などに関連性をもたせていくことで自然と調和が生まれますので、テーマに沿ってその「スタイル」や「テイスト」に合った資材やアイテム、植物を選ぶことが大切だと思います。

case study

同じ敷地空間でも、庭のテーマに合わせて雰囲気は全く変わってきます。テーマに沿った資材の選定と使い方、そして全体のバランスをとることが大切です。

※以下は、「リビングに面した、5m×5m四方の小庭の修景プラン」2例です。

共通の作庭条件:  以下の要素を取り入れること・・・①樹木  ②水景  ③テラスと休憩施設

 

事例1 : 「ナチュラルな庭」

 
使用資材 : 自然石石敷きテラス、ウッドベンチ、枕木敷き、自然石石積み、壁泉、景石、生垣、中高木(雑木類、自然風配植)、灌木地被類(混植)

事例2 : 「南欧風パティオ」

 
使用資材 : レンガおよび方形石敷きテラス、アイアンベンチ、アイアンフェンス、噴水、ステンドグラス、テラコッタ鉢植え(トピアリー、イトラン)、灌木刈込(低生垣)、ハーブ類列植、ツルバラ

 


 

常に立体の景観を意識しよう。

また、デザインを考えるにあたっては、ついつい「平面計画」ばかりが優先されがちですが「立体の景観」を確認することも大変重要です。

壁や塀などの囲い、樹木や生垣、階段や土留めなど、立面のバランス感が全体のイメージ、空間構成に大きく影響してきます。これらは平面計画と密接に関連しますので、平面計画と行き来しながらバランスよく計画を立てたいものです。


 

このようにして、徐々に詳細をつめながらデザインを固めていきます。

ただ、この場合「詳細」というのはデザイン性の話だけではありません。・・・

実際の仕事では、先ほどの「現場の条件」や「住まい手の条件」、「テーマ、コンセプト」などとの整合性の確認が必要ですし、あるいは「使い勝手」、「安全性」、「メンテナンス」、「耐久性」等、さらには「建物や街並みとの調和」、「施工性の良し悪し」、「コスト」・・・なども含めて詳細に検討を加えていく必要があります。・・・

そして、もし何か不都合があればまた戻って考え直す、・・・この繰り返しを一応の問題が解消するまでやることになります。

(つづく)


 


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