胴枯れに侵されたハナミズキ

個人邸のハナミズキ(2本)の樹勢回復処置を行いました。
まだ若木ですが、胴枯れが広範囲に進んでいます。 原因は間違った剪定が直接影響しているようですが、土壌も含め複合的な要因が重なっているようです。

(以下、主な診断・処置内容列挙)


 

(診断)

・一見樹勢がよく見えますが、樹皮が大きく縦に裂け心材が露出しています。

・幹には胴吹きが激しく、また葉には全体的にうどんこ病が蔓延しています。

・根元周りには庭の残土によって覆土(盛土)されている。

・有効土層は深さ200㎜程度しかなく、その下層は粘土層になっている。根系は浅く、粘土層には侵入していないようである。

・幹が胴枯れを起こしている直接の原因は、おそらく数年前の強剪定とそれに伴う幹焼けによるものと推察されます。 ただ、胴枯れは樹勢が低下すると起こりやすく、覆土の影響や乾燥害を受けやすい浅い根系など、もともと樹勢が低下しやすい立地環境であったと思われます。

(処方箋ならびに処置)

(地上部)

・外科処置により腐朽部の切除および殺菌、癒合剤処置。

・枝切り戻し(間違った剪定の修正)、癒合剤処置。 ・胴吹きの切除、全体に軽く整枝。

・枝葉全体に殺菌剤散布。

・根元周りの覆土(盛土)除去。

(地下部)

・土壌改良

・土壌膨軟化(圧縮空気土壌灌注)

・活力剤土壌灌注

腐朽部は丁寧に外科処置を施しましたが、胴枯れの腐朽部だけでなく、間違った剪定による切り残しも多くて手間がかかりました。

傷口は有機銅剤にて殺菌し、癒合剤で表面を処理しました。併せて樹勢の回復をねらって、土壌改良、土壌の膨軟化、活力剤施用等をおこなっています。 土壌環境を根本的に改善する必要がありますが、今回はそこまではできませんでした。 今後も経過観察を要します。


(樹木医、樹木診断・治療、大阪)


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