樹木医からのお願い・・・覆土にご用心!

覆土にご用心!


あなたの大切な樹木、「先枯れ」を起こしていませんか?

枝先の枯れ下がってきた樹木を時折見かけます。
それにはいくつかの原因が考えられますが、そのひとつに「覆土」による衰弱があります。

私たちは、家のリフォームや敷地の造成、あるいは日常のガーデニング作業などでも「土」を動かすことは意外と多いものです。
そして、そこに根を張った既存の樹木があっても、安易にその周りに「土」を盛ってしまうことがよくあります。

樹木に関心のない土木や建築業者ならまだしも、樹木を扱う造園業者ですら心ない人は平気でやっていたりしますので、まだまだ一般的に充分に認識されてはいないようです・・・。

 

ご存知のように樹木の根は単に水分を吸収するだけでなく「呼吸」をしています。ですから、土の通気不良は樹木に致命的なダメージを与えてしまいます。
特に根元周辺を「土」で埋めてかさ上げすると、埋められた地盤への通気が悪くなり、樹木の根が著しい呼吸困難に陥ってしまうのです。
盛土の厚みが薄い場合には樹木は空気を求めて地際から新根を発生し、「二段根」を形成しようとします。
なかには、その二段根でかろうじて生き延びる樹木もありますが、多くは新たな発根が間に合わず、徐々に旧根が衰弱して養水分を樹上へ揚げる力を失い、枝先から次第に枯れ下がっていきます。

また、盛土が厚いと数ヶ月であっという間に枯死する場合もあります。

( 障害のでる盛土の厚みは樹種や条件によって変わりますので、定量的に何センチ以上は危険とはいいにくいものです。わずか10cm未満でも障害となる場合もあります。)


 

どうしても樹木周辺をかさ上げする場合には、旧地表面への通気の確保と排水をとることがポイントです。

覆土する前にパーライトなどの通気性の高い資材を旧地表面や幹周りに厚く敷き詰め、通気性・排水性を確保するのが実績のある効果的な手法です。
でも、これはどうしようもない場合であって、できれば「覆土」は避けてほしいものです。

また、覆土してしまったものは、手遅れにならないうちに復旧や樹勢回復処置を早めにしましょう。


 

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