既存の石材を活かした庭づくり

旧家の家屋建て替えに伴う庭園のリニューアルです。

今回はまず一期工事として、前庭のみの作庭にとりかかりました。・・・

(改修前の庭園風景)

 

もともとあった庭はマツやマキ、カイヅカイブキなどの仕立物の樹木がたくさん植えられた和風庭園です。庭のリフォームにあたっては、樹木の維持管理費を大幅に軽減できるか、既存の大きな庭石等をどうするか、排水不良の改善などが主な課題でした。

植栽については、自然風に雑木類で再構成することにしましたが、モミジ、ツバキ等剪定で樹形を変えられるものは極力再利用をすることにしました。また、予算的な制約もありますので、既存の庭石等も巨大なものも含めすべて再利用をめざしました。

ただ、建築士からは以前の庭とはできるだけイメージを変えることを求められましたので、限られた条件のなかでどれだけイメージを変えられるのか、設計上の苦心がありました。・・・

まず修景上のポイントを庭中央、茶室縁台正面の部分に定めました。ここはアプローチを進んできたときの視線を受ける場所でもあり、これの修景を軸に庭全体を組み立てることにしました。またこの付近にはもともと大きな景石がひときわ存在感を放っていましたのでこれを据え直すことで庭全体の背骨をつくることができそうです。

実際、3tを越える大石のため据え直しには苦心しましたが、この大石が座ることで他の多くの雑多な要素がまるでジグソーパズルのピースのように自然と次々に納まってくれました。これもまた庭づくりの醍醐味であり、いつもながら不思議に思います。・・・

アプローチについては大きな高低差がありましたが、全体的に嵩上げして極力緩いスロープに変えてみました。舗装材については施主が鉄平石貼りを希望されましたので、ポーチは小判の鉄平石貼りとし、アプローチは大判の鉄平石を大胆に敷き込んでいます。

また、当該敷地は前面道路よりも低い立地のため排水不良が大きな懸念でしたので、可能なかぎり透水管、排水管を埋設して改善をはかりました。

長い工期の大掛かりな作庭となりましたが、大変悦んでいただき、また良い経験をさせていただきました。

使用樹種
アオダモ、常緑ヤマボウシ、ツリバナ、イジュ、ホルトノキ、カラタネオガタマ、イヌガシ、シラカシ、シャシャンボ、トキワエゴノキ、ミツバツツジ、カクレミノ など

(大阪・藤井寺市)

 

 

 


関連記事一覧