事故で折られたサクラの大枝・・・
「交通事故で大切にしている庭のサクラの枝を折られたが、何とか元通りにできないか?」・・・
こんなご依頼を受け、とり急ぎ現地へ出向きました。
現場は一方通行のかなり細い路地です。
大型のトラックが夜間に道を間違えて進入し、道に張り出していたサクラの枝をへし折ったうえ、路肩の側溝に脱輪してしまったようです。・・・
大型のトラックが夜間に道を間違えて進入し、道に張り出していたサクラの枝をへし折ったうえ、路肩の側溝に脱輪してしまったようです。・・・
見せていただくと、公道に張り出した太めの枝ですが縦に裂けるように折られており、衝撃の大きさを物語っていました。
気に入って大切にされていたサクラの木のようで、かなりショックを受けておられるようです。枝の半分がまだつながっているような状況でしたので元通りに繋げられるのではないか、とのご依頼でした。
もし仮に、この枝を強固にしっかり固定することができたのなら、いずれは避けた部分が癒合する可能性もあるようには思えます。
しかし、どう考えても、強固に固定する術が見当たりません。・・・
公道に大きく張り出しているため、支柱などで枝先を支える方法がないのです。仮に支える方法があったとしても、常に風にさらされる大枝は微妙に根元の傷口も振動し、癒合が進まないと思われます。・・・しかも大きくて複雑な傷口の腐朽を止めるのも難しい課題です。・・・
そんなことをご説明しながら、ようやく大枝を切除することをご納得いただきました。
不幸中の幸いですが、大枝の傷は幹までには達していませんでした。
間違いのないように丁寧に剪定処置すればいずれきれいに傷口は塞がれ、また不定芽が芽吹いて新たな枝が伸びてきそうです。・・・
正しい位置で丁寧に大枝を切除し、傷口を癒合剤で処置しました。
間違った枝の切り方をすると樹木に致命的なダメージを与えてしまいます。剪定は正しい位置で切りましょう。切り過ぎ(フラッシュカット)は樹木の腐朽に対抗する保護帯を破壊してしまいます。また、切残しも傷口が塞がらず腐朽が進んでしまいます。
作業自体は単純な作業でしたが、オーナー様の木への熱い思い入れに触れ、印象深い事例となりました。