狭小地でこそ活かせる雑木の庭づくり
最近は「雑木」をテーマにした作庭が多くなりましたが、今回は特に狭小な敷地での「雑木の庭」となりました。
玄関アプローチとリビング前の主庭部分を合わせてもわずかに12㎡ほどのスペース。
通常なら安易にすべて駐車スペースになってしまうか、あるいはリビング前のみに数本の植栽で終わってしまいそうな敷地です。
施主さまは自然志向の強い方で、
「アプローチも含めすべて「庭」にしてほしい。雑木類や山野草を植えて季節感や風を感じる自然風の庭にしてほしい。」・・・
また、「建て替え前の庭には大きなシマトネリコが樹冠を広げ、2階の窓からも枝葉が見えていて気に入っていた。建て替えに伴いしかたなく撤去したが、また2階からも楽しめるようになればありがたい。」とのご要望・・・。
このご要望をお聞きして、瞬時に作庭のイメージが固まりました。
狭小な空間ですが、かえって雑木の特徴を活かした階層的な空間づくりに向いていると判断。
落葉樹を主体に上層部の空間には樹木の枝葉が広がり、木漏れ日が差し込む下層部では季節感のある山野草などが風に揺れ、併せてアプローチなどの動線、機能性を確保するように配慮。・・・
また、古いブロック塀は一部撤去してメッシュフェンスにすることで風が通りやすくなり、また残った正面のブロック塀も塗り壁(美ブロを使用)にして門柱や建物と意匠を合わせました。
雑木の庭の背景として緑が引き立ち、また和モダンな印象をつくっています。
こういった作庭の場合、狭いがゆえにディテールへの配慮が必要です。
特に空間の骨格をつくる樹木はよく吟味します。雑木類は一本一本個性の違いが大きいので、この場にあった枝ぶり、樹形のものを探してくる労力を決して惜しんではいけません。・・・
使用樹種:
ヤマボウシ、アオダモ、ハクサンボク、ハイノキ、カラタネオガタマ、テンダイウヤクほか