樹木や植物の機能と特性を知ろう・・・住環境改善、五感の活性化

樹木の機能を活かした心地よい住まい
住まいの住環境の改善には樹木が大きな役割を果たします。樹木の機能をうまく使うことで、住まいの環境にさまざまな効用をもたらします。
それには、樹木による微気候の改善のしくみをよく知る必要があるでしょう。

陽射しのコントロール
住まいの微気候改善のための植栽は、高木の「落葉広葉樹」を主にして構成するとよいでしょう。
夏は葉を茂らせて木陰をつくり、冬には葉を落として暖かい日差しを住まいに取り込めるように陽ざしをコントロールしてくれます。

特に夏は木々の枝葉によって直射日光を遮りますので、日差しによる「直射熱」だけでなく、地表や建物からの「輻射熱」による温度上昇を防ぐことにもつながります。
風のコントロール
夏の日中は樹木があることで、日なたと木陰との間に大きな温度差が生まれます。この温度差によって下から上へ風(上昇気流)が発生します。この風が木陰の冷気を引っ張ってくれるので、木々のまわりではひんやりとした空気の流れを感じます。

また、外部からも風は吹き込んでくるのですが、樹木等の配置を工夫することで、外を素通りしてしまう風を住まいへ招き入れたり、逆に強すぎる風を樹木の枝葉で攪拌し、直接吹き込むのをやわらげたりもできるでしょう。
温度のコントロール
樹木はその生理作用として根から水分を吸い上げます。吸い上げた水分は一部は光合成に利用されますが、大部分は葉の気孔から放出されてしまいます(これを蒸散作用といいます)。
蒸散されるとき周りの「気化熱」を奪います。この蒸散作用によって樹木は陽ざしにさらされた葉の温度を下げているのです。

木陰の涼しさは単に日陰であるからというだけではなく、葉の蒸散作用による冷却効果が大きいからです。樹木は優れた天然のエアコンといえるでしょう。
人の「五感」を活性化させる植物の特性
また、樹木や植物には人の五感に作用するさまざまな機能、特性があります。
いわゆる「植物セラピー」や「園芸療法」などはこうした植物の機能、特性を活かしたものです。これを庭や生活にもうまく取り入れることで、さらに心地よい住環境が生まれることでしょう。

香りを楽しむ
あなたにとっての心地よい香り、また思い出の香りは何ですか?
香りは五感の中でも特に強く反応しますので、好きな香りや想い出の香りを嗅ぐことで癒しの効果も高くなります。

植物には無臭というものはなく、花木やハーブ類など多彩な香りがあります。また庭には植物以外にも四季折々さまざまな香りが楽しめます。



音をコントロールし、楽しむ
住まいには、周辺環境によりさまざまな雑音や不快音、あるいは騒音が入り込んできます。
でも、不快な音が樹木の幹や枝、葉に乱反射して拡散したり、また、心地よい音でマスキングしたりすることができます

庭にとって音という要素は大切で、葉ずれの音や小鳥の声、水の音など自然が発する心地よい音を楽しむことで、庭が何倍も楽しくなり、五感も大いに刺激され癒されます。



色を楽しむ
色彩も心地よい庭をつくる大事な要素です。
上手なカラーコーディネイトは、狭い所を広く見せたり、涼しげに感じさせたり、暖かくみせたりといった演出ができます。
植物を使ってカラーコーディネイトをするのは意外と難しいものです。生き物であるためにさまざまに変化することと、花だけでなく葉や実や幹など「色」として観賞する部位もさまざまであること。そして同じ色でも花や葉の大きさ、形、質感等によって全く印象が変わってきますので、絵の具のように単純に色の組み合わせだけで決められないのです。・・・

建物やインテリアイメージとも調和させながら、同系色で穏やかな印象にしたり、補色の組み合わせでシャープな印象にしたり、季節ごとにテーマカラーを変えてみるのも愉しいでしょう。
特にポイントになるのは、「花色」だけでなく多彩な「葉色」の使い方です。「カラーリーフ」と呼ばれるこれらの植物群は花とは違った印象の「色」として生かせます。「白い花」とともに緩衝材として花と花のつなぎ役に使ったり、庭のアクセントに使ったりとさまざまです。いろいろ試してみて好みの組み合わせを見つけるのも庭のひそかな楽しみかもしれません。・・・




味わう悦び
幼いころ、野山や庭で味わった味覚の記憶はありませんか?
遠い昔のことでも舌はその味を結構憶えているものです。郷愁を誘う想い出の果樹や好きな果樹、ハーブなど庭で気軽に楽しんでみましょう。

庭で楽しめる味わいの数々・・・収穫の豊かさは心の豊かさにつながります。



触れる面白さ
触覚についての好みやこだわりは人によって結構違うもので、その人の幼いころの原体験も大きく影響しているといわれます。
自分にとって心地よい手触りの植物を植えるのも庭の楽しみの一つでしょう。
ツルツル、カサカサ、ふわふわ、チクチク・・・時には植物に触れてみませんか?



