お茶庭からひろがる想い (6)
顛末記(4)
いよいよはじまった隣地広場の修景・・・
茶室側がほぼ仕上がって、いよいよ新たに購入された隣地広場の修景です。
250坪ほどのこのスペースはもともと畑地であったようですが、近年はほとんど使われていなかったようで半ば空き地のように放置されていました。この辺りは山麓でもあり起伏が激しく、この土地も東西方向に大きな段差があるのが特徴でこれが修景上のネックでもありました。・・・
当初からのオーナーの構想はここを「子供たちのための遊び場にしよう!」ということで、
・・・大きな樹木を植える。(別の場所にあるクスの大木を移植したい。)
・・・大きな木にツリーハウスを設けたい。
・・・モンゴル風のゲル(テント)を置きたい。
・・・できるだけ大きなトラック(周回路)を設けて、子供たちがグルグルと走り回れる活動的な遊び場にしたい。
・・・他にもある樹木を移植して使ってほしい。
・・・あまり予算はかけられない。できるだけ在るものを流用してほしい。
これらの要望を基本にプランニングに着手しました。
当初示したラフプランがこれですが、・・・
・・・走り回れる大きなトラック(周回路)。
・・・できるだけ大きな新植のシンボルツリー(この場合、すでに大木の移植搬入は困難と判断。)
・・・段差を利用したツリーハウス風のやぐら組み。
・・・移植樹木(サルスベリ)の円形列植で取り囲み、これを「ゲル」に見立てる。(ゲルの森)
・・・子供たちの記憶に残るような印象的な風景をつくる。
これを「たたき台」としてスタートしました。・・・
その後、話が二転三転しながらも、徐々にカタチが固まっていきます。・・・
途中の案いろいろ・・・(部分)
まさに「一期一会」の庭づくり・・・
実はこのプロジェクトには今までにない特徴がありました。・・・
それは、大まかな方向性だけは決まっていても、その他のことが時間の経過と共に流動的にさまざまに変化していくことでした。・・・
オーナーは年に何度も海外へ出かけて見聞を広げてこられるのですが、帰国するたびに場当たり的に話が変わっていくのです・・・。その都度話をすり合わせて軌道修正あるいは却下等の繰り返し・・・
また、「在るもの」でつくるのが基本命題ですが、さまざまな資材がさまざまなタイミングで突然迷い込んでくるのです。・・・
庭のデザインは全体のイメージを固めながら、ひとつひとつの要素を把握し全体を調和させながら組み合わせていきますので、デザイナーにとってはこの流動的な変化、イレギュラーへの対応は結構しんどい作業なのです。・・・
最初はこのようなことで大変な思いもしました。・・・
でも、途中からはある意味開き直ってしまいました。・・・自分の慣れ親しんだやり方に固執しないことでまた新たな道が見えてきたように思います。
できるだけ「あるがまま」に受け入れ、その都度インスピレーションを大切にしながら楽しんで創作するように心がけました。「計画図」もあくまで「概案」程度にとどめ、「現場合わせ」でその都度どんどん大胆に変えていきました。オーナーも私を信頼して下さり、任せていただいたことに感謝しております。・・・
まさに「一期一会」の作庭であり、結果的にうまくおさまると途中で苦労した分とても感慨も深く、他では得られない貴重な経験をさせていただいたと思っています。
また、不思議とタイミングのよいさまざまなご縁があり、結果として良い方向に進んでくれました。・・・(感謝)
細かな経緯はとても書ききれませんが、紆余曲折を経てたどり着いたのがこれです。・・・
詳しい経過は追ってお話したいと思います。・・・