お茶庭からひろがる想い(4)

顛末記(2)

茶室まわりの仕上げ・・・

数年前より、もともとあった茶室の原型を元に茶室と茶庭(内露地、外露地)の整備がはじまり、私は途中から引き継ぐ形で茶庭の整備に参加させていただきました。

その後、露地門へと続くアプローチ部分の整備、そして野点てスペースの粗整備を終え、今回ご紹介するのは、内露地内の池まわりの整備や茶室北側入口へつながる動線等の整備です。

いわば茶室まわりの仕上げでした。・・・

敷地図 内露地および外露地
敷地図 内露地および外露地

このお庭には、もともとオーナー自身が若き頃、亡きご尊父と共に手作りで創られた小池が残っていました。

コンクリートで塗り固められた護岸は技術的には拙い仕上げの池でしたが、幸い長年月がたって風化し、周りと馴染んでおりました・・・。

石が崩れて荒れた古池・・・
石が崩れて荒れた古池・・・

この小池を活かすこととし、石組みの修正や植栽を補いました。

護岸石組み復旧
植栽による仕上げ

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この茶室は「台目2帖畳、向切り台目茶室に袋戸棚付き板床、貴人口と曲がり茶道口の茶室」であります。

南側貴人口、東側茶道口以外に北側にも入口があり、戸を開放すると目の前に竹林と雑木が生い茂っていて、いかにも山奥深くに居るような風情があります。・・・

茶室平面図
茶室平面図

この北側入口には外からの動線がつながっていませんでしたので、周りの植栽等も含めその整備を行いました。・・・

この時点で飛石に使える石材は既に在庫がなくなっていましたが、オーナーが市内の老舗の料亭より古材を多数もらい受け、その「在るもの」だけで作庭をするよう求められました。

風変わりな石材(延べ石や石灯籠?の端材など)も多く、使い方に迷いましたが、思い切って古い角材と延べ石を組み合わせて飛石を打ってみました。・・・

飛石風景
飛石風景
飛石風景
飛石風景

この二石で段差の処理と方向転換の役目を持たせていますが、意表をついた仕上がりになりました。・・・

延段 施工風景
延段、沓石風景

また、これに続く小さな延段もせっかくの古材ですので、モルタル目地等見えぬようエイジングをかけて仕上げてみました。

いかにも古くからここに在るかのように見え、面白いものができたと思っています。

完成
完成

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