寺院の天然記念物・ ソテツの樹勢回復、保護

樹種名 ソテツ 作業種別: 樹勢回復処置 国の天然記念物に指定されている当該ソテツは古くから名木として知られ、伝説やいわれの多い樹木です。近年、樹勢の衰えが見られたため、国等の補助を受けて平成20年度から4ヶ年計画で再生事業が実施されたものです。(事業は樹木医によるNPO法人が受託し実施されました。) 事業は、調査の後、抜本的にソテツの生育環境を整える「保護増殖処置」と、剪定や薬剤散布、支柱設置などの健全な生育を促す「保護撫育」に分けて実施されました。 調査結果からは、本ソテツの樹勢衰退の原因は主に地下部の根系環境にあるものと考えられました。その一つは根の分布が植込み内に限定されていることと、さらには地下水位が高く、盛土された植込み部以外での滞水や透水不良なども衰退の原因と考察されます。 排水不良等の水環境の改善のため、側溝設置による表面排水の改善、暗渠管による地下部の滞水の排除、および通気性の悪い土壌の改良処置を行いました。 また、根系分布範囲を拡大するため、石組みを移設して植込み部を拡大、および植込み内の土壌改良を行いました。 作業はソテツだけでなく、玉垣や石組み、灯籠等文化財の取り扱いにも配慮する必要があり、大規模かつ長期にわたる作業となりました。

ソテツ全景

およびソテツの根系と菌根菌

土壌改良

石組み移設

石組み移設計画

排水計画

暗渠排水の埋設

土壌改良


(樹木医、樹木診断・治療、大阪)

 

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