お茶庭からひろがる想い・・・(12)

お茶室から新しい敷地へ「飛石」を延伸しました。

古池のある新しく入手された隣地へ入るには、お茶室からはいったん本館前の正面ゲートを通っていく必要があったのですが、かなりの遠回りで不便を感じるようになりました。将来、新たに整備されるお茶室との行き来を考えると今のうちに新たな動線を整備しておく必要が生じてきました。

しかしながらお茶室と隣地には大きな段差の石垣があり、また、かなり急な斜面になっている竹林を通り抜けていく必要があり、さらにはエノキの大木や雑木が立ち並んで藪のようになっていたり・・・と、正直ここに動線を確保できるのか当初は躊躇がありました。・・・

特に、微妙な位置にエノキの大木があります。このエノキだけは撤去できません。・・・また、動線は東西に2か所必要であり、この二つの動線をつなげる必要もありました。

さらにはお茶室ですので、和服を着た年配の女性も多く利用されますので、安全性や使い勝手に配慮が必要になります。・・・

・・・

(施工前の状況)

何とか障害物をうまく避けながら、段差や斜面をうまく処理し、スムースに安全に通れる動線が確保できないものかと思案しながら詳細に現地を調査しました。・・・ありがたいことに辛うじて最善のルートが見つかり、工事着手の目途がたちました。

(飛石延伸計画図)

茶室飛石延伸計画図

東側ルートは既存の飛石から枝分かれしたあと、竹垣を突き抜けて、石垣の外に石積みの階段を組んでみました。外の間道からも「枝折戸」を通して出入りできるようにもしています。

ぎりぎりのところにエノキの大木がありましたが、少し根を埋める程度で何とか階段を作ることができました。・・・

西側ルートは茶室南側の「縁台」から急な斜面を下ってくる必要がありました。しかも竹林ですからモウソウチクの根が幾重にも折り重なっていて、人力での飛石の運搬、据え付けは予想以上に難工事でした。・・・

思いのほか時間もかかり一苦労しましたが、ようやくの思いで完成できました。

苦労した分、達成感も大きいものです。・・・

(西側ルート)

(東側ルート)

(東西をつなぐルート延伸)


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