道具紹介・・・電動剪定鋏に思うこと

電動剪定鋏に思うこと

 

数年前に馴染みの職人から「電動の剪定鋏(ハサミ)」を紹介されました。

さっそく借りて使ってみてその力強さにビックリ。思わずすぐに購入してしまいました。・・・

愛用の電動剪定鋏

 

「電動剪定鋏」とは、モーター駆動がついている剪定鋏です。
トリガーを引くとハサミが閉じ、枝が切れるようになっています。力を入れなくても簡単に枝が切れるので、最近は果樹農家や造園などのプロだけでなく、家庭用にも普及しつつあるようです。

とにかく力強く、良く切れます。
実際に使ってみて一番感じるメリットとしては、
力を入れずに太めの枝を切れるので腕への負担が少なく作業がラクになること。そして従来のように剪定鋏からノコギリに持ち変える頻度が減るのでかなり時短を図れるということでしょうか。
特に、大まかな枝抜き剪定などに使うと効果抜群で、切った剪定枝を細かくさばくのにもむいていて、かなり時短を図れます。・・・

一方、デメリットとしては、
〇購入価格が安くない。
〇作動音が気になる。
〇従来の剪定鋏よりも重い、かさばる。
〇枝先の細かい剪定作業には向かない。(仕事が粗くなりやすい)
〇安全性の問題(機種のグレードによる違いも)
などでしょうか・・・

 

特にここでお伝えしたいのは、「安全性」の問題でしょうか。

太い枝でも簡単に切ってしまうチカラがありますので、万が一にも自分の指を切り落とさないよう、作業に集中する必要があります。
私も何度かヒヤッとしたことがあります。
実際の剪定では、樹上や脚立上でさまざまな体勢を強いられますので、指をトリガーに掛けながら仕事をしていると何かの拍子にトリガーにかかった指が動いて、思わぬところで刃が動くことがあります。

特に職人さんでもまだ経験の浅い方は気を付けたほうがよく、また仕事も粗くなりがちなので、しっかり剪定技術が身に着くまでは使わない方が良いように私は思います。
ましてや家庭で素人さんが使うにはもっと心配です。
実際に指を切り落とした話はまだ聞かないので杞憂かとも思いますが、少なくとも気を抜けば大事故につながる道具であることは知っておくべきかと思います。

 


ところで、使い始めのころ、年配の職人からは「そんなものを使うなんて邪道だ・・・」みたいなことを言われました。職人なら電動なんかに頼るなという変なプライドか何かでしょうか・・・
剪定仕事にも刈り込み機械にはエンジン式や電動式のものが以前からありましたので、何を今さらという話でもありますが・・・
そもそも、今使っている片刃式の伝統的な「剪定鋏」も明治以降に海外から入ってきたものです。
年配の人は「ドイツ鋏」と呼んだりもするように、それまでの日本には両刃式の木鋏(植木鋏)ぐらいしかなかったはずです。
おおよそ100年の歳月を経てまた新しい道具が導入されてきたにすぎず、安易に否定することはないとも思います。

ただ、否定的な意見のベースには、電動鋏に頼りすぎると仕事が粗くなる、しっかりした技術が身に付きにくいなどの危惧があるからかも知れません。・・・
おそらく剪定鋏が導入された100年前も否定的な意見はあったのでは、と想像できます。
片刃の剪定鋏は太い枝もラクに切れるなどある意味革命的な道具ですが、一方植木鋏に比べてどうしてもザックリと粗っぽい仕事になりがちですので。

やはりしっかりと技術を身に付けたうえで、従来の植木鋏や剪定鋏と新しい電動鋏の互いの長所を活かして、うまく使い分けていくことが必要かと感じています。

 

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