お茶庭からひろがる想い(9)

顛末記(7)

広場中央部分の完成です。

全体的には芝生を張った「築山」がドーナツ状にうねるように大きな風景を描いており、また上下段を視覚的につないでいます。

また、動線に変化をつくり、全体に「サーキュレーション(循環型の動線)」にして楽しめるようにしています。これは子供たちの遊びを活性化させるための仕掛けなのですが、観賞のための庭園としても回遊を楽しめるように配慮しています。

上段には特大の築山を設け、これの麓に大石(直径2m超)を据えてこれをテラスのようにしつらえました。

この「大石」も急きょ偶然に入手されたもので、立てるのか伏せるのか使い方に苦慮しました。・・・大きな風景を描くように、また子供たちが乗って遊べるように、「大石のテラス」としてあえて崖のように突き出して据え、緊張感をもたせた印象的な風景を作ってみました。・・・不思議な縁もあり、結果として面白いものができました。子供たちの記憶に残るような印象的な原風景になればと思います。

下段にも築山を連ねています。ここでは動線を上下に設け、途中で立体交差するなど変化のある景をつくっています。視点の移動により風景もさまざまに変化しますし、段差や既存植栽を活かして奥行きや広がり、深みを感じる面白い空間ができました。

また、お茶をテーマにした遊び場でもありますので、大きな石で「つくばい」を組んでいます。・・・これは真ん中の砂場のオープンスペースに桟敷を置くなどして茶事を催すことを想定しており、子供たちにも茶事作法の真似ごとができるようにしたものです。・・・

実は真ん中の砂場のオープンスペースの扱いは当初よりもっとももめた部分です。・・・

さまざまな案が提起されました。・・・

・・・大きな木を植えてツリーハウスを建てる。

・・・子供が化石掘りの遊びができるような砂場にする。

・・・子供たちに茶事をさせる簡易茶室を設ける。

・・・雅楽などの演奏ができるようにする、などなど・・・。

結局のところ、基本的には茶事もできる遊び場としながらも、他のことにもフレキシブルに使えるようなカタチに落ち着いています。・・・

このあたりの変化は、この広場以外にも敷地が徐々に拡大していったことが原因のひとつでもあるのですが、それに伴い子供の遊び場としての性格が徐々に薄れていってしまったようです。・・・(別途、隣の新しい敷地にアスレチックちびっこ広場を整備。後述。)

関連記事一覧