お茶庭からひろがる想い(5)
顛末記(3)
芝生広場に打った飛石の景・・・
茶室まわりの飛石に続き、老舗の料亭よりもらい受けてきた石材の残りを使って芝生広場(野点てスペース)にも飛石を打つことになりました。
ここは茶事をする際、水屋からの出入口と外からの出入口、そしてメインのアプローチをつなぐ役割の動線になるところです。
ただ、もらい受けてきた石材が「間知石」を主とした厚みのある角石しか残っていませんでした。・・・「在るもの」での作庭を求められていたものの今回ばかりはどうかな・・・と少し躊躇がありました。・・・
使い方としては間知石の「面」側を踏み面にするしかありませんが、ただ一定方向に並べるだけでは単調になりそうです。あれこれ思案の末、長短辺の向きを変え、リズミカルに弧を描きながら打つことにしました。
これも結果的には面白い景がつくれましたが、いろいろと苦労がたえないものです。・・・
あと、芝の張替えや、水屋側への目隠しを兼ねた御簾垣風のパーテーションを作りつけ、仕上げました。
アンティークな鉄製門扉を再生・・・
その後、オーナーが知人より明治期以前のものと思われる鉄製の「門扉」をもらい受けてこられました。
乳房のような「饅頭金物」が付いたアンティークなものですが、とても重く2~3人で担ぐ必要があります。錆びた鉄枠の中には木板(木摺り)があり、壁土が充填されていますが半ば崩れ落ちているような代物です。・・・
これをどこかに使ってほしいとのこと。・・・
でも今の状況では使い道がすぐには考えつきません・・・。オーナーと話がなかなかつかず、二転三転・・・、結局「芝生広場」にテーブル、縁台として置こうということになりました。
さらには、表面は「しっくい」で塗り直してほしいという気ままなご要望・・・
・・・しばし思案の末、まず錆びた鉄枠で着物等が汚れないよう、また壁土がこぼれないよう「木枠」で鉄枠を巻き込みました。これで少しはテーブルや縁台らしく見えてきました。
そして内側は壁土が崩れていましたので、ラス網と軽量モルタルにて下塗りをして養生。仕上げにしっくい(屋外でも使えるもの)を金コテで塗りつけ、保護材として撥水剤でコーティング。できるだけ屋外の使用に耐えうるようにしてみました。(幸い1年たっても綺麗です。・・・)
知恵と創作を試されるこの「在るもので」シリーズはいったいどこまで続くのでしょうか?不安と期待が交錯します!