小さな庭のプランニング2(中庭、坪庭)

建物や壁に囲まれた狭い中庭スペース

建物や壁に囲まれた狭い中庭空間などは意外とスペースがあっても使われない空間になっていたりします。広さや見え方、人の動線にもよりますが、まず「観賞本位の庭」にするのか、「使う庭」にするのかを考えてみましょう。もし室内から全体が見えるのなら「坪庭」として観賞本位の庭をつくってもよいでしょう。もし使う庭にするのなら、できれば小さなテーブルやベンチなどを置いて一休みできる空間を作ったり、もしも日当りがよければ菜園や花壇を作ることもできるでしょう。

鑑賞本位の小庭
使う庭

  プランニングのポイント

1) 狭さが気になる空間でも、ウッドデッキやテラスをしつらえ、さらにウッドフェンスや樹木などでしっかりとした背景をつくれば素敵な「アウトドアリビング」にできるでしょう。視線が抜けるようなフェンスなら圧迫感も少なく、また外からの適度な目隠しにもなるでしょう。

狭い庭

2) 狭い庭周りの「囲い」はなるべく圧迫感を減らしたいものです。目隠し効果と圧迫感のバランスは意外と難しくケースバイケースの対応になりますが、基本的には特に目隠しが必要なところだけ最小限に隠し、他は視線や風の抜ける資材を使ってできるだけ開放的に囲いましょう。

3) 狭い空間でのテラスやデッキは、建物のラインに合わせた定型的な意匠の張り方では見た目にも単調で実際以上の広さを感じにくいものです。狭いからこそあえて斜めに張ったり矩形に作ることで動きや変化、広がりが生まれます。さらにはうまくレイアウトすればテラス周りにまとまった植栽スペースも確保できるようになるでしょう。

狭い庭 デッキB

4) 庭の床面は曲線を多用するなどして、実際より広く見えるように工夫しましょう。特に通路や植桝、縁石など庭の中にうまく曲線を取り込むことで狭い庭でも空間に動きや広がりが生まれます。

狭い庭 曲線
坪庭、素材等の調和

5) 狭い空間に多様なアイテムを取り入れすぎると逆効果になります。取り入れたい要素は「優先順位」を決めてできるだけシンプルにまとめましょう。素材や色、意匠などどこかに統一感を持たせることも空間をまとめるためのポイントです。

6) 狭い庭では樹木は多くは植えられません。好みにまかせてあれもこれもと苗木を植え込んで将来的に問題を抱えてしまわれる方々もおられます。・・・ひとつの目安として、やわらかな印象のシンボルツリー(株立ち物)1本をポイントに植え、あとはスペースや見せ方に併せて小さな樹木を数本それに添える程度が無難でしょう。それ以外にどうしても育てたい樹木があれば鉢植えで管理するようにしましょう。

狭い庭 樹木
狭い庭 フォーカルポイント

7) 狭い庭だからこそ「視線の誘導」は重要です。見せたいポイントに視線を誘導して空間にメリハリをつけることで引き締まって見え、結果的に広がりを感じるようになります。「フォーカルポイント」はその庭のテイストと広さに併せて選びましょう。植栽とうまく組み合わせてお気に入りの風景を作りたいものです。


(小さな庭づくり、大阪)


関連記事一覧