排水不良による根腐れ、衰弱・・・植栽基盤の改善。
1年ほど前に新築にともない植栽されたお庭のようです。
オープン外構で雑木と草花類で構成された自然風の植栽で、当初は順調に生長していたとのこと。
しかし、ひと夏を過ぎたころから枯れ下がったり、衰弱してくる樹木がチラホラ・・・。心配されたお施主さまよりご相談がありました。
土壌を試掘してみますと、表面はきれいな山土が敷き込まれていますがすぐ下層には黄褐色の堅い粘土層が広がっていました。もともとのこの辺りの地盤のようですが、排水性が悪くこれが根腐れを起こし衰退の原因となっていたようです。
関西での山林を切り開いたこのような開発地では、切土か盛土かにもよりますが植栽に適さない植栽基盤のまま安易に樹木を植えてしまっている事例が少なくないようです。
一見、きれいに客土が敷きこまれているのですが、化粧程度の土厚に過ぎないこともあり、下層の粘土層によって排水不良、根腐れをおこしやすくなります。根は呼吸困難におちいって空気を求めて表土に近いところにしか伸長しません。このため夏季等に土壌が乾燥すると急速に枯死することも多いようです。・・・
根本的な解決を図るには、植物を一旦撤去して粘土層の除去や土壌の入れ替えをするべきでしょう。しかしそれには多額なコストや手間を要してしまいます。・・・
この事例でも面積や植栽本数も多く、一旦撤去して土壌を入れ替えることは現実的には難しい状態でした。
そこで対処療法的にはなりますが、少なくとも根腐れしないよう排水経路を確保すること、できるだけ有効土層(土厚)を増やすことに主眼を置いて改修をおこないました。
排水対策として砕石で巻き込んだ暗渠透水管(トリカルパイプ)を埋設し、土中の余剰水が既存の排水桝へ徐々に流れ込むようにしました。
併せて新たに土留め縁石(レンガ積み)を設け、土厚をできるだけ増やすようにしました。・・・
このような作業でも既にできあがったお庭では手間のかかる大変な作業になりました。
しかし、これを作庭時に配慮して対処しておくほうがはるかに手間やコストを抑えられるかと思います。
植栽基盤はコストをかけても仕上がり時に分かりにくいので軽視されがちですが、樹木が生き物である以上後々影響が顕著に現れてくるものです。特に排水不良は致命的な欠陥になりますので注意が必要でしょう。